従業員1名あたりのオフィス床面積、という統計があります。NOPA(一般社団法人ニューオフィス推進協会:New Office Promotion Association)が2000年に行った調査によると、全国平均で1人当たり10.34平米、すなわち1人あたり約3坪という結果が出ています。なおこの面積は、会議室・応接室・給湯室・役員室・エレベーターホール・階段・廊下など、執務機能のない空間を除外した「一般執務面積」の従業者数平均として算出されています。データとしては少々古いですが、上場企業1000社・非上場企業1000社の無作為抽出で採取されたデータですので、信頼性は高いと思われます。 2013年現在の同データはあいにくと手元にありませんが、他統計の動向から推測するに、1人あたりのオフィス床面積は微増していると想像されます。
さて、昨今において、オフィス家具応接セットの需要は、年々縮小している傾向を感じます。会議室にグレードが高めのテーブルとオフィスチェアを配置して、応接室を兼ねるスタイルが主流になっているようなのです。考えれてみるとこれも自然な事です。商談の際にもノートPCを持参して、パワーポイントなどを使ってプレゼンを行う場面も増えていると思います。こういった時、応接家具のテーブルよりは、電源のついた会議テーブルの方が使い勝手がよいだろう事は、改めて想像するまでもありません。 応接室という形で応接家具を配置した場合、その部屋はもっぱら応接を行う際のみに機能する事になります。会議室が応接室を兼ねる事は比較的容易ですが、その逆は難しいのです。応接家具を用いた応接スペースの床面積を算出してみると、ソファとテーブルだけの簡易なものでも2坪程度、サイドボードやワードローブなども共に備えた本格的なものなら7坪程度が必要になります。 企業さまの業種・業態にもよりますが、お客さまを招き入れる機会がさほど多くない場合、専用の応接室は機能性の低いデッドスペースに近い事になります。それならばそのスペースを執務スペースとして機能させたいとお考えになる企業さまがいらっしゃったとしても無理のない事でしょう。 逆をいいますと、少なくない企業さまが応接家具を敬遠されるからこそ、上手に用いれば対外的な密かなアピールになるといえます。
標準的な応接セット一式といいますと、3人がけくらいの長ソファ×1・1人がけソファ×2・センターテーブル×1が基本構成になります。より高級なものになりますと、1人がけの肘なしチェアやスツール、およびサイドテーブルなどが増えていきます。長ソファは上座、1人がけソファは下座に置きましょう。応接室への出入口がある場合はその扉から遠い方が上座です。 席次の上下は絶対的なルールではありませんが、これができていないよりは、身につけている来訪者さまの方がより信用できるものではないでしょうか。応接室は、人を見る目として機能しうるのです。
来訪者さまにとって、受付と応接室は企業さまの第一印象が決まる場所になります。ここでコーポレートカラーをふんだんに用いれば、来訪者に企業さまの印象を強く残すことができます。どちらの空間でも、太陽光に近い暖色系の照明を使うのがおすすめです。よりよい顔色で来訪者さまを迎えることで、好印象を与える効果があるからです。企業さまをコンパクトに表現する空間として、応接室は打ってつけです。 おもてなしの心をもって、来訪者さまを迎え入れられる応接スペースがあると、とても素敵だと思います。
オフィスの限りある床面積から応接のためのスペースを捻出するのはたやすい事ではないと思います。本稿が多少なりともご検討の一助になりましたら幸いです。ぜひ、よいお買い物を。