オフィスチェアと色彩
色は必ずしも、オフィスチェアの本質的な機能とはいいがたいものです。とはいえ、もし機能が同じオフィスチェアがあり、そして色に複数の品揃えがあったとすれば、自然に、より好みに合う・もしくはより職場の雰囲気に見合う色を選ぼうと思うはずです。
オフィスチェアは、オフィスで用いられるアイテムの中では最も色の品揃えが多いものです。同じ部署で色を統一してチームの一体感を演出したり、あるいは個人の好みで色を選んでモチベーションを高めたりと、チェアの色には“色々な”使い道があるからではないでしょうか?
オフィスチェアは、ワーカーが体を預ける道具であるといえます。メガネや服がそうであるように、ほぼ体の一部なんですね。こういった道具はどういうわけか、色も大きく重要視されるものです。
オフィスの色彩の歴史
オフィス家具メーカーの総合カタログを紐解き、オフィスチェアの項を参照してみます。面白い事に、若干の例外はあるにせよ、より掲載順の早いものほど開発も新しいシリーズになっています。逆にいえば、掲載が最も遅いオフィスチェアは、最も古いものであるといえます。各メーカーとも、概ねこの傾向に則して掲載しているようです。
日本においてオフィス家具の需要が劇的に高まったのは戦後以降の事ですが、この頃のオフィスチェアは軒並みスチール製にビニールレザー張りで、色もグレーでした。
1980年代になって、フレーム材としてエンジニアリングプラスチックが開発され、オフィスチェアは大幅に軽量化されると共に、デザインの自由度が高まります。これに伴い、オフィスチェアの上張り材に色彩が持たされるようになりました。
この頃、オフィスデスクやスチール収納家具などは、まだグレー系が主流です。あらゆる色を平均する調和的なグレー色とバランスを取るためか、オフィスチェアの配色は、彩度が高くヴィヴィッドな、原色的な色使いになっていたようです。その分、色の品揃えは少なかったようです(原色的なレッド・ブルー・グリーンなど。あるいはブラック・グレー)
1995年以降、オフィスにパソコンが一挙に普及します。これに伴い、オフィスに流通する紙文書の物量が爆発的に増し、文書の一次保管所・二次保管所としてオフィスデスクやスチール収納家具の重要性が高まると、これと軌を一にして、デスクや収納のカラーリングが見直されていきます。現在ではそれらのアイテムの配色としては、ホワイト系が一番人気・ナチュラル系が二番人気です。
ホワイト系・ナチュラル系がオフィスの色になるのに合わせて、オフィスチェアの色も変化していきます。彩度が低く・明度が高く…つまり、より淡い中間色的な色使いがされるようになります。中間色が取られる事により、色の品揃えが広がります(レッド・マンダリンオレンジ・マンゴーイエロー・ベージュ、ダークブルー・ミディアムブルー・アクアブルー・ブルーグリーン、ダークグリーン・グリーン・ライムグリーンなど)
おわりに
いわゆるオフィス家具四大メーカーのうち、コクヨは早い段階からオフィスチェアに多彩な色使いをしてきているようです。イトーキ・内田洋行・オカムラに関しては、1995年頃までに発売したシリーズでは6色前後、最新シリーズでは10色前後を用意しています。
なお、最も色の品揃えが多いのは、セミオーダーシステムを採用した、内田洋行・パルスチェアの30色になっています。
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